「オーケストラは爆発だ!」【スタッフ・ガイヘル日記】

2019-05-13

今回は高校生の男性ご利用者のお話です。
このご利用者の持つイメージの世界はとても奥深く、
一緒に外出すると、彼の想像の世界を垣間見ることがあります。
それがまた彼という人間への興味を掻き立てられるのです。

そんな彼とオーケストラの演奏を聴きに行くことになりました。
なんでも、半年前から「オーケストラを聴きたい!」とご家族に言っていて、
ご家族が障がいを持った方向けのコンサートに応募して当選したのだそうです。

そのコンサートは「障がい者のためのふれあいコンサート」といいまして、
東京都交響楽団が都や日本チャリティ協会との共催で30年以上続けているものです。

会場に着いて席に座ると、舞台に置かれた楽器を指さしながら、
「オーケストラ、オーケストラ」と私に何度も嬉しそうに確認していました。
演奏が始まると食い入るように聴いていました。
そして、最後の演目でリストのハンガリー狂詩曲が流れると、彼の感情は頂点に。
身体を大きく動かして、「ガハハ!」と高々と笑い声を上げました。
クラシックを聴いているときの一般的な反応ではないのですが、
まさに、はち切れんばかりの笑顔で、とても喜んでいました。

自宅に帰って、ご家族にご様子の報告をしました。
「リストのハンガリー狂詩曲がすごくお気に召したようでした」と報告すると、
「あれは『トムとジェリー』で使われている曲で、
DVDを持っているので本人はよく知っている曲なんですよ」とのことでした。
ひょっとすると、ご利用者は演奏を聴きながら、
トムとジェリーが追いかけっこをしている画を思い浮かべていたのかもしれません。

それにしても、あの喜びよう!
そして、高笑いしても中断することのないオーケストラ!
声を出しても、周りにいる人から咎められる心配は全くありません。
ヘルパーも安心して一緒に演奏を楽しめる、最高のコンサートでした。
こういうイベントがもっと広がってほしいと思います。

オーケストラの演奏に合わせて身体を大きく動かし、高笑いをしていたご利用者
私は「クラシックを聴いているときの一般的な反応ではないな」と感じていました。
しかし、よくよく考えてみると、「むしろこの姿の方が自然なのではないか?」と思いました。

私自身、ハンガリー狂詩曲を「これはたまらん!」とワクワクしながら聴いていました。
事実、自宅でショパンやパガニーニを流しているときはじっとなんかしていられないわけで、
好きな音楽と心が同調したとき、人はどうしたって体が動いてしまう。
それが人として自然なことなのだろうと思います。

ポップスだろうがクラシックだろうが、本当は同じことなのだけれども、
「クラシックはじっとして聴くものだ」という暗黙の了解に縛られているのではないか?
クラシックだって、ロックコンサートのように自由に弾けられるコンサートがあっていい。

演奏中に「シーッ!」と注意していたら、きっとご利用者は楽しむことはできなかったでしょう。
もしかしたら、「もうコンサートなんか行きたくない」と思ってしまったかもしれません。

私たちは、知らず知らずのうちに社会の暗黙のルールに絡め取られていて、
さらには意識せずにそのルールを周りに押し付けていることがあるのだろうと思います。
それは図らずも世の中にあふれる、様々な「楽しさ」を、
自分からも、周りの人からも奪い取っているのかもしれません。(yoshiki)

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