新たな一面【スタッフ・こげら日記】
2023-11-13
ある日のガイド。
今回のご利用者のガイドは、おおむね散歩がメインとなります。
ところがこの日は諸事情により、
電車やバスに乗ってのんびり過ごしてほしいと
リクエストがありました。
電車の乗り換えを重ねての旅。
車内では車窓から景色を眺めながら、にこやかに過ごされている様子。
ふだんは黙々と散歩をされているイメージなのですが、
このように穏やかな表情を見ていると、
電車旅をしてよかったな~と安心しました。
ところが帰路のこと。
電車を乗り換えてホームで待っていると、
通過列車のアナウンスが聞こえました。
するとベンチで座っていたご利用者がスクッと立ち上がり、
線路の方に歩き出されたのです。
黄色線の手前で立ち止まられたので、とりあえず一安心。
ご利用者は電車が来る方に身体を向けてじっと見つめています。
やがて大きなカーブを回って通過列車が入線してきました。
その時です!
ご利用者がこれまで見たことがないような満面の笑みで
電車を見送っていたのでした。
電車が過ぎ去った後も笑みは絶えません。
それどころか声にならない大笑いをして、
電車を見たことの喜びを表現されていました。
ご利用者はことばを話すのは苦手なのですが、
声にならない声で私に喜びを訴えかけてきてくれました。
私が「電車、うれしい?」と聞くと、ウンウンとうなづいてくれました。
次の電車に乗った後もこの喜びは抑えきれないようで、
私を見ては訴えかけてこられます。
私が再び「電車、うれしい?」とか「電車、楽しい?」とか聞くと、
やはりウンウンとうなづいてくれるのでした。
こうして笑いが絶えないまま帰宅。
いつもは黙々と散歩をしているイメージだったのですが、
ご利用者の新たな一面を見ることができました。
素敵な外出をありがとうございました。
また機会があったときは、
カーブのあるホームをご提案したいと思います。
(yasunorio)