均衡【スタッフ・こげら日記】
2025-02-10
あるご利用者の支援では、
毎回必ずおやつ購入バトルが行われます。
おやつ購入バトルのルールを説明します。
ご利用者:できるだけおやつを大量に買えるように支援者を説得する
支援者:できるだけおやつを減らしてもらうようご利用者を説得する
いたって簡単なバトルです。
注釈をいれますが、これは意地悪で行っているのではありません。
詳しい説明は避けますが、事情により、
おやつの大量食いはできるだけ控えることとなっています。
しかし、ご利用者はとにかく大量購入したい気持ちがあります。
ですから、お互いに本気でバトルに臨まなければなりません。
今回は、いつもどのようなバトルが行われているか紹介させていただきます。
ご利用者の得意な戦法は【ドアインザフェイス】。
最初に過剰な要求をして断らせ、
代わりに本命の要求を飲ませるという手法です。
まず、「チョコケーキを20個買いたい」と支援者にボールを投げてきます。
まさに過剰な要求です。
そこで私は、「いや、2個にしよう」と返しました。
実は、私の得意戦法も【ドアインザフェイス】。
しかし、ここでひるむようなご利用者ではありません。
「16個!」「4個!」「12個!」「8個!」と競り合いが始まりました。
まるで魚市場のような様相。
最終的な競り数は4個。
意外にもかなり支援者に寄った結果となりました。どこかおかしい。
次に飲み物コーナーに移動します。
ご利用者は不自然なほど口角が上がっています。
なにか、嫌な予感がします。
そこで放った一手。
「コーラは16本買う。なぜならさっきおやつを減らされたから」。
……やられました。
チョコケーキは本命ではなかったのです。
すべては、コーラを大量購入するためのやり取りだったのです。
勝負は振り出しに戻りました。
ここからも、交渉技の応酬が繰り広げられましたが、
最終的にはいつもより多めに購入することになりました。
ご利用者の勝利。笑顔で店を後にしました。
これまでの総合戦績はご利用者に軍配があがります。
ですが、それでいいのだと思います。
一方的に支援者がご利用者の気持ちを押さえつけることは適切ではありません。
このバトルにより、ご利用者と支援者間で「均衡」が保たれているのです。
ご利用者はおやつ大量食いの権利を守るため。
支援者はご利用者の健康を守るため。
これからもバトルは続くことでしょう。
(tsukamoto)