ただ差し伸べられた手を、【スタッフ・こげら日記】
2023-11-20
浅草に行った。
水上バスに乗るためである。
外国人観光客も多く、浅草は以前の活気を取り戻していた。
乗車予定だったチケットは完売。
お昼ご飯を食べてから水上バスへ向かうことにした。
どこで食べようかと街を歩いていると、
看板の写真を見て指差す彼女。
写真付きで彼女がメニューを選びやすいし、お手頃価格。
そして店内が空いている…迷わず入店。
券売機で食券を購入し、
できた料理をセルフで取りに行く方式のようだ。
ここで懸念点が1つ。
彼女が自分の食事を落とさずに運ぶ確証がない。
ヘルパーが代わりに運んでいるあいだ、
ひとりで座って待っていただくことも難しそうだ。
店内には券売機のボタンや貼り紙など気になるものが溢れている。
彼女の目にはそれらがとても興味深いもののようにうつる。
そして、ついつい触ってみたくなる。
しかし他に方法がなく、
ヘルパーが最速で運んで戻ってくるしかないか…
と考えていると、厨房から店主の話し声が聞こえてきた。
「俺が運んでくるからちょっと任せるよ」
「なんであんたが、」
「だって大変そうだろう。俺が行ってくるよ」
店主の男性が2名分の食事を席まで持ってきてくれた。
水を持ってくるのも大変だろう、と、トレイにコップも載せて。
食事を終えたときも、快く片づけを代わってくれた。
「いいよいいよ、大変だろう。おれに任せて」と。
ガイドヘルパーはご利用者本人の自己実現を手伝う仕事。
だが、実際にはヘルパー自身が助けられる場面も多い。
ガイドヘルパーでないときの、個人としての私は、
人に助けてもらうことが苦手だ。
目の前の困っている人にただ手を差し伸べる。
差し伸べられた手を受け取る。
その両方の勇気をもつ人でありたいと思う。
(ynn)