積み上げてきた【スタッフ・こげら日記】
2023-11-27
もともと障がい者福祉には関心がありませんでした。
今日まで支援を続けてこられたのは、単にめぐり合わせでしかないと
今でもそのように思っています。
こんな自分が、ここまで一体何を積み上げてきたのだろうと、
ときに顧みることがあります。
夏頃からコーディネート業務を一部担うことになりました。
利用者からの支援の依頼と支援者から提出されたの稼働の
マッチングが主な業務です。
多少経歴が長いとはいえ、利用者・支援者双方に、
一度もお会いしたことがなく顔も存じ上げない方がいます。
そういった方々のコーディネートは、上長の意見、支援実績、
ケア報告など、様々な情報を参照しながら行います。
そんな、知っている人や知らない人の「名前」を、
組み合わせ、交換し、調整を繰り返していくなかで、
それぞれを「交換可能な情報」として処理している自分に気がつきました。
ひとりひとり異なる個人を平板な情報として扱う。
こう言ってしまうと冷たく感じられるかもしれませんが、
不可欠な作業でもあります。
人は、それぞれ異なった多様な背景をもつ事柄を
ありのままにすべて受け取ることはできません。
どこかで情報を整理分類し、圧縮しなければ脳がパンクしてしまいます。
ただ、そのような事実があるにせよ
ぼくは自分が扱うひとりひとりの背景を忘れずにいたいと思うのです。
マッチングそのものは名前と名前の組み合わせにすぎませんが、
実際に行っているのは、ぼくの知っているご利用者・支援者との
「エピソードの組み合わせ」でもあると思います。
僕が入職以前から積み上げてきたものは、
そういった各個人とのエピソードでした。
コーディネートはうまくいきません。
見ているようで、その人のことをよく見ていなかった。
そう思わされるような小さい齟齬が毎日起きます。
毎日落ち込みますが、思いもよらなかったエラーも
ひとつのエピソードでしょう。
単にその人を知らないことで組み合わせを間違える。
そんなミスも、数えあげればきりがありません。
きりがありませんが、これもぼくとその人とのエピソードとして
積み上げるほかないのです。
コーディネートはうまくいきません。
それでも、今日まで自分が何を積み上げ、何を見落としてきたか
以前よりも見えるようになった気がします。
(climber)