あなたに逢いたくて【スタッフ・ガイヘル日記】

2019-06-10

お出掛け日和というには暑すぎるほど額に汗滲む4月の日曜日のこと。
わたしは1カ月振りとはいえ2週続けて、同じご利用者とお出掛け。

アンジェルマン症候群という障がいをお持ちの方で、
握力は屈強な男性並みに強いものの、自立歩行は難しく主に車椅子で移動。
発語も乏しいのですが、表情に感情がハッキリとあらわれます。
性格は人懐っこく、仲良くしたいと想う人に腕を伸ばして掴もうとしたり、
雄叫びをあげて注目を集めようとしたり、あの手この手で猛アピール。
好意を抱く人から手を振ってもらえた時には、
飛び切りの笑顔で「ウォ~~~~‼」と喜んでくれます。
その姿に子供はびっくりしますが、見慣れた私にとっては愛らしいものです。

そんなご利用者と1カ月振りにご一緒したこの日
「何故なのか分かりませんが、先月から電車やバスを嫌い、乗れなくなりました」
というお話をお母様から伺いました。
いつも、最寄りのバス停から駅まで行くことから始まるので、
「ムムッ…6時間で私はぽっちゃり系なAさんを押してどこに行けばいいのかな?」
と内心思いつつも、「かしこまりました。いってきます!」とガイドスタート。

お母様の話とは異なり、ご利用者は最初のバス乗車は拒みませんでした。
しかし、その後はどれだけ機嫌がよくてもバスにも電車にも乗りたがらず、
駅・バス停に近づくだけで、足で車椅子にブレーキをかけて断固拒否の姿勢。
行き先を変えたその翌週のガイドも、最初のバスにしか乗りませんでした。
同じ路線バスでも自宅へ帰る復路のバスは乗らず、往路のバスだけはOK・・・
・・・なんとも不思議ですよね。

でも、いつもご一緒している私には何となく分かります。
往路のバスには、いつも同じ席に座っている素敵な女性がいて、
毎回、ご利用者に優しく声を掛けてくれるのです。
なのでご利用者は後部座席をチェックして、その女性がいるかチェック。
「よく(バスの便が)一緒になるんですよ」
ずいぶん昔にその女性が話してくださるまでは、
ご利用者が何故後部座席をいつもチェックするのか分かりませんでした。

その女性が座っているのは決まって車椅子スペースの一段後ろの席。
ご利用者は、女性にプレゼントをしたくて体をひねって懸命に後ろに腕を伸ばします。
プレゼントは飲みかけのミルクティーのボトルや、何かのプラスティック容器です。

「それは大事なものでしょ、気持ちだけで嬉しいと想うから持っておいて」
と私はそれとなく嗜め、
「ありがとう。でもいらないよ~。きもちだけ貰うね~」
とその女性も柔らかに答えて、ご利用者を優しく撫でてくれます。
それだけでご利用者は大喜び。
バス車内に「ウォ~~~~‼」と歓喜の声が響き渡ります。

ガイド中は、その“存在感”が際立つご利用者・・・
口の中に握り拳を突っ込んだりして、周囲から奇異の目で見られることもあります。
でも素敵な女性とのコミュニケーションで、場の緊張感が解けて和みます。
その甲斐もあってか、他の乗客の方も温かい眼差しとなり、
下車するときにご利用者へバイバイと手を振ってくれたりもします。

どこか目的地に行くのではなく、逢いたい人へ逢いに行く(そして尾行する)
そんなお出掛けスタイルのご利用者・・・
そんな彼女へ何の躊躇も緊張も、気取ったところもなく接してくれる女性。
その存在の大きさを感じ、深く感謝するとともに、
人と人との触れあいにこそ心を満たすものがあることを実感しました。(kelly)

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