ガイドヘルプの小噺【スタッフ・ガイヘル日記】
2021-02-01
コロナ禍により外出することを躊躇する世の中になりました。
ケアこげらでも、外出支援サービスを遠慮する方が少なからずいらっしゃいます。
(それでも事業継続の為に頑張っています!)
先日、1年ぶりにサービスに入った、とあるご利用者。
普段の利用は作業所から自宅への往復のみ。
保護者が高齢なこともあり、あまり外出する機会が多くありません。
春以降、コロナの懸念から数ヶ月間サービスの利用を控えていました。
今回、久しぶりにヘルパーと外出をしたいと本人自ら希望したとのことです。
久しぶりにそのご利用者と顔を合わせました。
どこか緊張気味の様子ですが、リュックを背負って、靴を履いて準備万端です。
マスクは問題なく着用できる方なのでもちろんマスクもつけています。
持ち物に新しく増えたのが、アルコール消毒液の携帯ハンドジェル。
目の前でこれを見せてくれて、ジェスチャーで使い方を教えてくれました。
行き先は支援者のお任せでした。
コロナ禍の中どこに外出しようかと、最近はいつも迷います・・・
ご利用者は自分で紙に書いたメモを見せてくれました。
3ヶ所の行き先の候補が書いてあります。
お母様と前日までたくさん考えて、候補に3つ挙げたそうです。
その3つとは、近場の普段よく行くところ、水族館、動物園です。
お昼ご飯も何が食べたいか聞いてみると、「ハンバーグ」とのこと。
動物園の最寄り駅近くに有名なハンバーグ屋さんがあって、
過去にプライベートでも行ったことがあるので提案してみました。
行ってみたいとの反応だったので、行き先は動物園に決まりました。
久しぶりの電車に乗って動物園に向かいます。
楽しみにしているのか、時折優しい笑みを見せてくれました。
「好きな動物からまずは見に行ってみようか」と聞いてみると、
何の動物が好きなのか、言葉ではっきりと伝えてくれました。
動物園を見て回り、満足気な様子。
そろそろお腹も空いてくる頃、駅前の目当てのお店に向かいます。
ところがそのお店はとても混んでいて、店先には長蛇の列。
時間がかかりそうで密にもなる懸念があったので、他のお店に行くことに。
ご利用者に聞くと「蕎麦」と言うので、お蕎麦屋さんを探します。
するとお蕎麦のつけ汁を専門にしているお店を発見。
店内もそこまで混雑していなかったので、ここに入ってみることにしました。
しかし、普段見慣れないつけ汁のお蕎麦・・・
どれを食べようかメニューを見て迷っている様子。
一番人気のメニューと、少し変わり種のメニューを選んでみることにしました。
注文した2つのお蕎麦がやってきました。
ご利用者に「どっちが食べたい?」と聞いてみると、まだ迷っている様子だったので
「そしたら、半分ずつ食べてみようか!」と提案すると、
笑顔で「うん!」と答えてくれました。
食器に触れる前に持参した携帯ハンドジェルで手を消毒します。
お皿を数個もらい、2種類とも全て半分ずつ分けて食べることに。
はじめて食べるつけ汁蕎麦は美味しかったようでお箸がスムーズに進んでいました。
帰りは今日の出来事を振り返りながら家路に。
「お蕎麦が美味しかったからまた食べに行きたい」と言ってくれました。
普段行かないようなお店で、普段と違うメニューを食べてみるという経験・・・
ご利用者にとって選択の幅を広げる経験になったことでしょう。
大袈裟に言えば、人生を豊かにした思い出の一つとなるかもしれません。
コロナ禍により「不要不急の」外出を控えましょうという風潮です。
外出の経験が乏しくなる障がい者が、ますます増えてくるかもしれません。
普段は我慢に我慢を重ね、感染予防に努めなければならない日々・・・
ふと息抜きで久しぶりに外出をしてみたい、というような要望は多いです。
それに応えることができるよう、努めていきたいと思います。(fu-chann)