迷子【スタッフ・こげら日記】

2024-05-27

秋の柔らかい陽が射し心地よい風が吹く週末。
散歩とおやつが大好きなB様と航空公園へ出かけた日のこと。

普段は人もまばらな航空公園が、
この日は所沢市民祭2日目の影響か屋台が連なり
一歩一歩ゆっくりと群集をぬうように歩くしかない程の賑わいぶり。

いつもは人混みが苦手なはずのB様でしたが、
あちらこちらから美味しい匂いが漂い機嫌が良く
祭りの雰囲気を楽しむかのようにニコニコ散歩。

おやつを食べるベンチもなかなか見つからず、
比較的ヒッソリした遊具エリアの外れに腰かけ、
B様至福のおやつタイムをとりました。

私がおやつを召し上がるB様の隣に腰かけ、書類を書いたりしていたとき、
後ろの方から少年がベンチの背から顔を覗かせました。

サッと身を引いたかと思えば、
ベンチから目と鼻の先に立ちつくし右往左往キョロキョロ。
誰かを探しているような小さな子が「迷子」だと気付くのに
そう時間がかかりませんでした。

転んだのかセーターは片腕が土に汚れ、髪をクシャッと掻き掴み、
横顔からも半ベソをかいているのが分かりました。
汚れた袖で目元を拭ったのか、目の下には薄っすらと土汚れ。

周囲には大人も大勢いるのに、通り過ぎるばかりで目を配りもしません。
遊具エリアという場所柄、皆自分のこどもやパーティーに精一杯。

B様には聴覚過敏があり、泣いたり大きな声を見聞き子どもが苦手です。
大人になった今は多少自制できますが、もともと多動の傾向があり、
走り出したら支援者が追いつけず「ロスト」事故に繋がることが多い。

正直なところ、
「きっと誰かが坊やを助ける筈!お母さんが迎えに来る筈!
願わくば関わりたくない…」と祈るように思いました。
もしこの迷子対応が起因し、B様のロストにつながったら本末転倒です。

しかし15時を過ぎ陽も傾くなか、
周囲の状況下を踏まえるとそれは望めないことも直感的に感じました。

良心の呵責に苛まれるに違いないことも自覚し、
嬉しそうにおやつを召し上がるB様の傍ら、
気づけば少年に「ぼく、どうしたの?」と声をかけていました。
成長したB様と、付き合いの長いB様との関係性に可能性を賭けました。

ママとお友達と公園に来たユウヤ君(仮名)4歳は、
いざ私と隣に座るB様が一緒にお母様探しすることを丁寧に伝えると、
ピシャリと自ら泣き止みました。

ユウヤ君と私の様子を横目にB様も察しがついたのか、
「この子も一緒に散歩に行こっ!お母さんを見つけに行くの。良い?」
と怒られる覚悟で簡単になんとなく伝えても
B様は嫌な顔や拒否の仕草をなさいませんでした。
それどころか、B様は少し距離を置きながらも、
小さな歩幅で背をかがめ迷子と歩く私に後続してくださるのです。

何度も迷子を経験したご利用者様の迷子救助への協力と、
目にはみえないけれども計り知れない彼女の成長に、
言葉に出来ないほど感銘を受けました。

迷子同行者探しから15分程経過した頃、
ユウヤ君のお友達一家が目の前に現れ無事に合流することができました。

ありがたさと嬉しさからB様を褒めちぎろうと、
「Bさん、ありがとう!」と声をかけるや否や、
言葉を遮るようにB様から「キーッ!」と一言だけお叱りが…


「苦労したのよ!貸しができたわね!」と言わんばかりに怒りつつ、
協力への感謝を伝えると満更でもなく、満たされたようなお顔で
夕日沈む公園を散歩するB様なのでした。
めでたし!めでたし!
(kelly)


こげら会公式Instagram

リンク

こげら会 名前の由来
働いている人の声
お問い合わせ・アクセス
採用情報・募集職種

MENU

移動支援/行動援護/ショートステイ
相談支援
放課後等デイサービス
グループホーム
ガイドヘルパー養成講座
行動援護従事者養成研修
採用情報(新卒/中途/パートタイム職員)